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冷戦期の中南米における死の部隊の実態と歴史的背景の真相

一条 真人 一条 真人 • 更新: • 公開: • 読了約 6 分
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冷戦時代の中南米において、国家権力や極右勢力の暗殺作戦として暗躍した「死の部隊」。その語源や歴史的背景、そして現代社会に至るまでの変遷については、多くの歴史的事実と複雑な政治的背景が絡み合っています。本稿では、第三世界における暴力の構造や、エルサルバドル、アルゼンチンなどの具体事例を紐解きながら、「死の部隊」が内包する実態の真相を深く解説します。

「死の部隊」とは何か?冷戦期の中南米における基本定義と語源

死の笛

「死の部隊(英語: death squad、スペイン語: escuadrones de la muerte)」とは、主に第三世界の各国、特に冷戦時代の中南米で行われていた、市民に対する暗殺作戦を実行する白色テログループの総称です。近年では、反テロなどを名目としたものもこう呼ばれることがあります。

歴史的な観点から見ると、これらの組織は概ね、社会主義や反体制の革命軍、あるいは左派勢力に対するカウンター(反撃)を目的として組織されました。表向きの法執行機関の手が届かない領域や、司法手続きを無視した超国家的・超法規的な暴力の行使として、数々の暗殺や弾圧が秘密裏に実行されてきたのが実態です。

エルサルバドルとアルゼンチンにおける歴史的背景と政治的動向

1973年以降、極右によるテロの嵐がエルサルバドル国内で吹き荒れました。軍内部の死の部隊はEsquadron de la Muerte(EM、暗殺部隊)と呼ばれ、軍内の極右、保守反動派、退役軍人、予備役兵、現役警官などから構成されていました。彼らは労働組合構成員をはじめとして、学者、医者、弁護士、学生、農民、神父、尼僧、ジャーナリストなど多岐にわたる市民を夜毎暗殺し続けました。

記録されている事例の中には、見せしめのためだけに標的とされた市民が多数存在し、時には子どもまでもが犠牲になったと報告されています。一方、アルゼンチンにおいては、軍部が政局を収めるためにペロニスタとの和解を目指し、1973年の自由選挙でフアン・ペロンが復帰したものの、彼の急死後に後を継いだイサベル・ペロンも困難な政局を収めることができませんでした。こうしたペロニスタ政権の無能力と政治的混乱を背景に、1976年にホルヘ・ラファエル・ビデラ将軍がクーデターを起こし、官僚主義的権威主義体制を掲げる軍事政権が誕生することになります。

冷戦期中南米における主要な政治的・社会的背景

冷戦期の政治的緊張や軍事政権の台頭は、中南米諸国の社会構造に深い傷を残しました。以下の表は、当時の背景と各国の動向をまとめたものです。

国・地域 主な政治的背景 死の部隊・組織の実態 主な標的となった層
エルサルバドル 1973年以降の極右テロの激化、反体制派との内戦前夜 軍・警察関係者、退役軍人によるEM(暗殺部隊)の結成 労働組合員、学者、神父、ジャーナリスト、一般市民
アルゼンチン ペロニスタ政権の混乱と1976年のビデラ将軍によるクーデター 軍事政権下での官僚主義的権威主義体制による弾圧 反体制派、学生、労働運動指導者、政治活動家
中南米諸国全般 東西冷戦構造、社会主義・革命勢力の台頭への恐怖 国家権力と癒着した極右白色テログループによる超法規的殺人 反体制革命軍、市民社会のオピニオンリーダー

現代における「死の部隊」の実態:ストリートチルドレンと治安の闇

冷戦終結後も、「死の部隊」という言葉やその構造的背景は形を変えて存在し続けています。現在では、治安改善や犯罪抑止を名目に、貧困から窃盗や強盗を繰り返すストリートチルドレンを次々と虐殺し、それに関わる子どもたちを排除していく暗殺組織のことを指すことが多くなっています。

これらの組織は軍警察と密接に結びついているケースが少なくありません。メンバーの中には現職の警官が含まれていることも多く、ストリートチルドレンの窃盗や強盗の被害にあった商店の店主らが、軍警察官に「掃除」と称して彼らの殺害を依頼しているパターンがほとんどです。その結果として、過去にはカンデラリア教会虐殺事件のような深刻な人権侵害事件も発生しており、法と秩序の名の下で行われる暴力の実態が社会問題となっています。

【死の部隊】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:「死の部隊」の主な目的は何だったのですか?
A1:冷戦期においては社会主義や反体制派の制圧、現代においては特定の治安問題や犯罪対策を名目とした超法規的な排除や暗殺が主な目的とされています。

Q2:組織のメンバーにはどのような人が含まれていたのですか?
A2:歴史的には軍の内部関係者、極右・保守反動派、退役軍人、予備役兵、現役警官などが含まれており、国家権力や治安機関と深く結びついていました。

Q3:現代の社会における実態はどう変化していますか?
A3:政治的なイデオロギー対立から、貧困層やストリートチルドレンの排除、治安維持を口実にした私刑や闇の粛清へとその文脈が変化し、依然として深刻な社会・人権上の課題となっています。

冷戦期の中南米における政治的動向や軍事政権の台頭は、「死の部隊」という極端な超法規的暴力を生み出しました。エルサルバドルやアルゼンチンでの歴史的経緯、そして現代におけるストリートチルドレンを巡る闇に至るまで、これらは国家権力と治安組織のあり方がもたらした重大な教訓を示しています。歴史的背景と現代の実態を客観的に見つめ直すことは、法の支配と人権の重要性を再確認する上で極めて意義深いと言えます。

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