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いいちこCM歴代の名作と楽曲一覧!ロケ地の真相やポスター秘話を徹底解剖

黒沢 朋子 黒沢 朋子 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
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夕暮れのテレビ画面にふと流れる、どこか哀愁を帯びたアコースティックギターの音色と、息を呑むほど静謐な世界の風景。大分県宇佐市に本社を置く三和酒類が誇る本格麦焼酎「いいちこ」のコマーシャルは、単なる酒類の販促という枠組みを遥か昔に飛び越え、日本の広告表現における一つの到達点として君臨し続けています。

テレビCMが視聴者のアテンションを競い合い、過度なテロップや派手な演出で溢れかえる現代においても、いいちこの映像は徹底して「静寂」と「情緒」を貫いています。本稿では、四半世紀以上にわたり日本人の琴線を震わせ続けるいいちこCM歴代の名作群を紐解き、記憶に刻まれた名曲、世界各地に広がるロケ地の真実、そして駅の通路を美術館へと変えたポスターの秘密まで、取材データと一次資料をもとに徹底分析します。

三和酒類CMヒストリー|「下町のナポレオン」が築いた映像美学とキャッチコピーの原点

いいちこcm歴代

本格麦焼酎「いいちこ」が誕生したのは1979年(昭和54年)のことです。当時、焼酎といえば「安酒」「労働者の酒」というイメージが根強く残っていました。その固定観念を根底から覆したのが、三和酒類とクリエイティブディレクター/アートディレクターの河北秀也氏によるタッグでした。

河北氏が掲げた基本方針は、驚くほど徹底していました。「テレビCMやポスターで、酒の味や製法を押し付けがましく語らない」「タレントが美味しそうに飲む姿を見せない」「ボトルは風景の一部として控えめに佇ませる」。消費財広告のセオリーであった「シズル感」や「知名度の高いタレントの起用」を真っ向から否定する逆張り戦略です。

同時に世に出されたのが、あまりにも有名な「下町のナポレオン」といういいちこCMキャッチコピーでした。庶民的でありながら気品があり、どこか洒脱なこのフレーズは、大分の方言で「いいね」「よいですよ」を意味する「いいちこ」という柔らかな響きとともに、瞬く間に全国の呑兵衛たちの心を掴みました。三和酒類の公式資料によれば、1980年代前半からの徹底したブランドイメージ刷新が奏功し、地方の一酒造メーカーから全国屈指のトップブランドへと駆け上がった歴史の裏には、この揺るぎないクリエイティブの一貫性がありました。

いいちこCMソング名曲と歴代歌手一覧|ビリー・バンバンから坂本冬美への継承

いいちこCMを語るうえで、映像と完全に同化している音楽の存在を外すことはできません。その中核を担い続けたのが、フォークデュオのビリー・バンバン(菅原孝・菅原進)です。

ビリー・バンバンがいいちこCM曲を初めて手掛けたのは1987年。以降、30年以上の長きにわたり、数々の名曲を世に送り出してきました。「琥珀色の日々」「さよならをするために」「遅咲きのめぐり逢い」、そして歴史的大ヒットとなった「また君に恋してる」。菅原進氏が紡ぎ出す切なくも温かいメロディと、憂いを帯びた歌声は、いいちこの透明感ある味わいと見事に共鳴しています。

そして2009年、音楽業界に大きなセンセーションが巻き起こります。演歌歌手の坂本冬美氏がビリー・バンバンの「また君に恋してる」をカヴァーし、これがCMソングとして起用されると、配信チャートやオリコンランキングを席巻。演歌・歌謡曲のリスナー層のみならず、普段焼酎を口にしない10代・20代の若年層にまで爆発的に浸透しました。「楽曲のカヴァーから逆輸入のように原曲が再評価される」という異例の社会現象は、いいちこCMが持つプラットフォームとしての発信力の高さを如実に証明しました。

ナレーションに関しても極めて贅沢な起用が続けられてきました。昭和の名優・菅原文太氏が担当した時期の低く渋い語り口は、今なおファンの間で伝説として語り継がれています。過剰な説明を削ぎ落とし、「いいちこ」という一言、あるいは季節の移ろいを告げる短い言葉だけで物語を完結させるナレーションは、まさに大人のための映像詩です。

【徹底比較】いいちこCM歴代一覧と名作データアーカイブ

ここでは、1980年代後半から現在に至るまでの代表的なCM作品、楽曲、ロケ地、そして演出の特徴を一覧表で振り返ります。

年代・シリーズ CMタイトル・楽曲名 アーティスト/歌手 主なロケ地(国内・海外) 演出の特徴と制作背景
1987年〜1990年代初頭 時は今、君の中へ
琥珀色の日々
ビリー・バンバン アメリカ(西海岸・モニュメントバレー) 広大なアメリカの原風景にポツンと置かれたいいちこ。無国籍で旅情を誘うスタイルの原型が完成。
1990年代中盤〜後半 遅咲きのめぐり逢い
砂の道
ビリー・バンバン ヨーロッパ各地(アイルランド、トスカーナ等) ヨーロッパの古城や田園風景を採用。しっとりとした湿度と哀愁を感じさせる映像表現へ深化。
2000年代前半 君の詩
今は、このまま
ビリー・バンバン オーストラリア、ニュージーランド 南半球の大自然や手つかずの海岸線を舞台に、圧倒的なスケール感と孤独感を対比させた構成。
2007年〜2010年 また君に恋してる ビリー・バンバン
坂本冬美(カヴァー版)
アイスランド、北海道など 極北の澄み渡る空気感と楽曲が完全シンクロ。坂本冬美版のヒットで若年層の認知度が急上昇。
2010年代中盤〜後半 ずっとあなたが好きでした
さよなら涙
坂本冬美
ビリー・バンバン
アメリカ・オレゴン州、南米など 原点回帰とも言える大自然のロングショット。4K/8K撮影技術の導入でディテールがより先鋭化。
2020年代〜最新 ふたりで/季節の彩り
いいちこ最新CM2026
ビリー・バンバン
新録・特別アレンジ版
国内秘境(大分・九州山地、東北)および海外 ローカル(地域・自然)と普遍的な人間愛への回帰。環境保護や時間の豊かさを静かに問いかける。

いいちこCM海外ロケ地真相|息を呑む絶景はどのように選ばれたのか

いいちこのCMを見るたびに多くの人が抱く疑問が、「この圧倒的な風景は一体どこで撮影されているのか?」という点です。インターネット上では長年、「あまりに非現実的な美しさだからCG合成ではないか」という噂が飛び交っていました。

しかし、取材やメイキング記録が明かす真相は真逆です。これらの映像はすべて現地にロケ隊が足を運び、奇跡的な瞬間を何日も待って撮影された正真正銘の実写です。

選定されるロケーションは、観光名所の定番スポットではありません。アメリカの荒涼とした砂漠地帯、アイスランドの氷河と黒砂海岸、アイルランドの吹きさらしの断崖絶壁、イタリア・トスカーナの誰も通らない一本道など、「世界の果て」を思わせる場所が意図的に選ばれています。

ロケ地選定の基準について、制作関係者は「生活感や時代の流行が極力写り込まない場所」「人間が自然に対して抱く根源的な畏怖や郷愁を感じさせる場所」であることを一貫して挙げています。地球上のどこかにあるけれど、誰もが心の中に持っている「いつか帰りたい場所」。その抽象的なイメージを具現化するために、撮影クルーは過酷な環境へと旅を続けているのです。

いいちこ歴代ポスターデザインの魔力|駅貼り広告がアートと呼ばれる理由

テレビCMと双璧をなす、もう一つの伝説的メディアが駅貼りB0ポスターです。1984年以来、都営地下鉄や東京メトロ、JRなどの主要駅で、毎月新作が掲出され続けています。

通勤ラッシュで足早に通り過ぎる人々の視界に、ふと飛び込んでくる1枚の写真。春には新緑の木漏れ日、夏にはどこまでも続く青い水平線、秋には枯れ葉舞う並木道、冬には静まり返った雪原。中央あるいは画面の隅に、まるで最初からそこにあったかのように「いいちこ」のボトルが佇み、短く詩的なコピーが添えられています。

このポスターデザインには、厳格なデザインコードが存在します。

  • 完全な余白のコントロール:画面の大部分を風景が占め、ボトルの配置は黄金比に基づいて緻密に計算されている。
  • 文字情報の極小化:「いいちこ」のロゴと、わずか1行から2行のキャッチコピーのみ。商品スペックや価格、キャンペーン情報などは一切記載しない。
  • 季節の先取り:街の空気感が変わる半歩手前のタイミングで掲出され、都市生活者に季節の移ろいを意識させる。

駅の雑踏の中で、ポスターの前だけ時間が止まったような感覚を覚えるファンは多く、定期的に開催される「いいちこデザイン展」には全国からデザイン関係者や愛好家が詰めかけます。駅広告という消費されがちな媒体を、40年以上にわたり「公共空間におけるアートピース」へと昇華させた功績は、日本のグラフィックデザイン史においても特筆すべき偉業です。

一般に知られていない盲点とネットの誤解

いいちこのプロモーションを深掘りしていくと、一般にはあまり知られていない事実や、ネット上で囁かれる誤認がいくつか見受けられます。

誤解1:広告費が潤沢だから海外ロケを連発できるという見方

「大手ビールメーカーのように膨大な広告予算をつぎ込んでいるから豪華な海外ロケができる」と思われがちですが、実態は異なります。三和酒類の広告戦略は「頻繁に大量投下する」のではなく、「1本の質を極限まで高めて長期間大切に使う」というスタイルです。少人数の精鋭チームが現地へ飛び、機動力を活かしてじっくりと撮影を行うため、莫大なタレントギャランティを投じる一般的なマス広告と比べれば、投下資本に対するブランド価値の持続期間(ROI)は極めて高いと言えます。

誤解2:坂本冬美の「また君に恋してる」はCMのために書き下ろされた?

これもよくある誤解の一つです。原曲は2007年にビリー・バンバンがいいちこのCMソングとして発表したシングルであり、坂本冬美氏の楽曲はカヴァーです。坂本氏自身がビリー・バンバンの原曲に深く惚れ込み、「ぜひ歌わせてほしい」と熱望したことからカヴァーが実現し、それが新たなCMバージョンとして採用されたという美しい敬意の連鎖が存在します。

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル

長年にわたるCM放映は、実際の消費者行動にどのような影響を与えているのでしょうか。SNSや焼酎ファンコミュニティ、飲食店での聞き取り調査を通じて見えてくるリアルな声を集約しました。

「居酒屋でいいちこを頼むとき、なんとなくCMのメロディが頭に流れる。大衆酒なんだけど、どこか品があるように感じられて気恥ずかしさがない」(40代・男性会社員)

「駅のホームで仕事帰りにポスターを見ると、ふっと肩の力が抜ける。あのポスターがあるから、週末に部屋でゆっくり水割りを飲みたくなる」(30代・女性デザイナー)

「最近の若い世代には、昭和のフォークソングというより『チルい世界観の原点』として受け止められている。TikTokなどの動画カルチャーとは真逆の時間の流れが逆に新鮮」(20代・WEBクリエイター)

【プロの視点】いいちこCMの世界観が「刺さる人・刺さらない人」

広告表現として極めて評価の高いシリーズですが、当然ながら受け手の志向によって評価は分かれます。

  • 深く刺さる人:忙しい毎日に余白を求めている人、旅や自然の原風景に哀愁を感じる人、行間を読む文学的なコミュニケーションを好む人。お酒を「味わいや酔い」だけでなく「時間や空間」として楽しみたい層。
  • 物足りなさを感じる人:「製法やアルコール度数、芋と麦の違いなどの機能的説明を求める人」「テンポが速く情報量の多いコンテンツに慣れ親しんでいる人」「タレントのリアクションや明確な味のレビューを見たい人」。

【2026年最新】いいちこ最新CM2026の動向とこれからのブランド戦略

移り変わりの激しい2026年現在、いいちこの映像表現はどのような進化を遂げているのでしょうか。最新の取り組みでは、デジタルデバイスでの視聴環境に最適化されつつも、核となる「静寂の美学」は一切ブレていません。

最新のクリエイティブでは、地方回帰やサステナビリティといった時代の文脈が自然に溶け込んでいます。大分・九州の原生的な自然美を改めて捉え直す試みや、長年シリーズを支えてきたビリー・バンバンの楽曲を最新の音響技術でリマスター・再構築したバージョンなど、歴史の重みと現代的な洗練が同居したアプローチが展開されています。

動画コンテンツが短尺化し、冒頭数秒で離脱されないための過激な演出が横行する現代だからこそ、いいちこが守り続ける「語りすぎない勇気」は、かつてないほどの独自性と高級感を放っています。

【いいちこcm 歴代】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ビリー・バンバンが歌う歴代のいいちこCM曲で、一番古い楽曲は何ですか?
A1:ビリー・バンバンとして最初に起用されたのは1987年の「時は今、君の中へ」です。その後、1989年の「琥珀色の日々」など数多くの名曲が続き、同社のブランドイメージを決定づけました。

Q2:いいちこCMのロケ地は一般人でも行くことができますか?
A2:基本的には実在する公共の自然風景地や国立公園周辺が多いため、訪問自体は可能です。ただし、オーストラリアのアウトバックやアイスランドの僻地など、一般的な観光ルートから外れた交通の便が極めて悪い場所も多く、訪問には事前の入念な調査と装備が必要です。

Q3:歴代のいいちこポスターを購入したり、まとめて見る方法はありますか?
A3:原則として駅貼り用のB0ポスターは一般販売されていません。ただし、三和酒類が過去に発行した作品集(デザインブック『iichiko design』など)や、定期的に美術館・ギャラリーで開催されるアーカイブ展において、網羅的に鑑賞することができます。

Q4:いいちこCMのナレーションはすべて菅原文太氏だったのですか?
A4:いいえ、すべてではありません。菅原文太氏が担当した時期は非常に印象深く有名ですが、過去には菅原洋一氏や、ビリー・バンバンの菅原孝氏、さらには落ち着いた語り口のプロナレーターなど、作品のテーマに合わせて様々な人物が起用されています。

いいちこの歴代CMとポスターは、移ろいやすい広告の世界において「変わらないことの尊さ」を教えてくれる極めて稀有な存在です。派手な売り文句を並べるのではなく、美しい風景と心に寄り添う音楽を用意し、あとは受け手の想像力に委ねる――その謙虚で高潔な姿勢こそが、半世紀近くにわたり日本中で愛され続けてきた本質的な理由です。

お酒を選ぶ基準は人それぞれですが、ただ喉を潤すだけでなく、グラスを傾けながら自分自身を取り戻す穏やかな時間を手に入れたいとき、いいちこが紡いできた映像の数々は、最も上質な肴となってくれるはずです。今夜は懐かしいCMソングに耳を傾けながら、琥珀色の時間に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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トレンドリサーチャー 黒沢 朋子
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映画配給会社の広報を7年、媒体編集を6年。公開日・配給公式の発表・配信サービスの告知だけを一次情報として照合し、あらすじは結末に触れない範囲で構成します。

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